12月9日(水)
8月に中学一年生の理科教室でストリングラフィを教材として取り上げたいとの内容で、お問い合わせをいただいた愛知教育大学附属岡崎中学校 理科教室の花井咲絵子先生から「研究協議会」(実践授業)の内容が送られてきました!
生徒さんが真剣かつ楽しそうに実験や演奏に取り組んでいる動画&写真もいただき、現場の雰囲気が伝わってきます。(掲載受諾済み)以下花井咲絵子先生の許可を得て、報告のメールから「研究協議会」の様子が記載されている部分を転載します。
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本校では、子どもたちが疑問に思ったこと、問題にしたいことについて、一人一人が追究し、考え、解き明かしていく授業を行っています。そして解き明かしたことやさらに疑問に思ったことを意見交流をとおして、仲間と話し合い、考えを深めていきます。絹糸から、さまざまな音を奏でるストリングラフィは子どもたちにとってとても魅力的な教材でした。
単元の導入では、水嶋様がたの演奏を聴かせ(音源のみ)、「どうしたら、絹糸でこんなに多彩な音がだせるのだろう」と追究を始めました。私もつたない演奏でしたが、キラキラ星を演奏しました。子どもたちは、プロの演奏家のクオリティは無理でも、「先生みたいに演奏したい」と思ってくれ、追究をスタートしました。(優しい子たちです。)
作り方も伝えず、絹糸のみを渡しスタートしましたので、まずは音を出すために苦労を重ねました。水をつけたり、音を大きくするためのスピーカー(紙コップ)をつけたり四苦八苦していました。松脂はしばらくしてからアイテムとして渡しました。松脂の効果に感動の嵐でした。
子どもたちは、音階を出すために、試行錯誤しながら、糸の長さや太さ、はりを工夫し、音を奏でました。
愛知教育大学附属岡崎中学校理科教室 花井咲絵子教諭 研究協議会 2020年 1
そんな中、「みんなが出しているドレミと私が出しているドレミが違う」という疑問をもち、音階の固有の振動数(ラなら440Hz)を奏でることで正確な音階を奏でることができると見いだしました。音階には固有の振動数があり、固有の振動数を奏でることで、同じ音の高さを出すことができることを学ぶことができました。
愛知教育大学附属岡崎中学校理科教室 花井咲絵子教諭 研究協議会 2020年 2
単元の最後には、追究して解明したことをもとに作ったストリングラフィで、演奏会を開きました。私が与えた楽譜は、キラキラ星やカエルの歌など1オクターブで演奏できる簡単なものでしたが、子どもたちは「小さな恋の歌」や「カントリーロード」、星野源のドラえもんのテーマソングなど、さまざまな曲を披露してくれました。
長机の脚を支柱に利用→ストリングラフィを固定→「カントリーロード」演奏 👏👏👏(動画からのスチール写真)水嶋記載
そして、改めて水嶋様の演奏を、映像付きで見せると、子どもたちは「同じ糸とは思えない」と、その音色に感動していました。
子どもたちが、目を輝かせながら追究していけたのも、水嶋様のアドバイスがあったからこそです。本当にありがとうございました。
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花井先生から、特別に授業のプランなども見せ頂き、内容の高さと深さに感銘を受けました。これまでも小中高大、各学校の授業や研究に協力させていただく機会があり、その都度様々な学びがありました。
今回の「研究協議会」の内容は中でも極めてレベルの高いものだと感じています。何より「教育」のポリシーがすばらしい!
①問題の発見
②仲間とのコミュニケーションを取りながら問題を追及
③発見&成果の発表
未来を生きていくための力を養う教育だと感じました。その実践にストリングラフィが生かさせるとすればこんなに嬉しいことはありません。ストリングラフィは1992年に考案し、文字通りゼロから築き上げた楽器と表現スタイルです。身近な生活の中でオリジナリティを発揮し、クリエイティヴな発明・発見・表現にに昇華するプロセスは先生の実践される「研究協議会」に通づるものがあると感じました。
①オリジナルな音楽表現を追求する為には楽器から創造するべきだとのひらめき
②28年間活動を共にしているプロデューサー・八重樫みどりを始め、演奏者やサポーターメンバーと試行錯誤を重ね楽器と表現力を磨き、プログラムを開拓、オリジナル曲の創作を継続
③公の場でコンサートを重ねる中で、自己表現→アート&文化→異国間の文化を通じての相互理解→教育→幼児教育→福祉→次世代のクリエーターへの影響
今後も各分野の皆様と意見を交換しながら、ストリングラフィのスキルを社会に役立て、そのすそ野を広げて行きたいと思います。