森田商店訪問 MORITA Brothers ~Custom Fiber Processing factory

8月11日(金)August 11, 2017 (Fri.)

 ストリングラフィ専用の絹糸を制作していただくため(“貞明皇后蚕糸記念科学技術研究助成”)、八王子の森田商店(撚糸)を訪問しました。
 Kiku and I visited “MORITA Brothers in Hachioji”.

 森田商店は100年以上前、この地に大きな絹問屋として出発したそうです。森田さんが車で送迎して下さる間、教えてくださった「森田商店の歴史」はまさに「日本近代史」でした!
 “MORITA & Co.” started more than 100 years ago in the center of Hachioji as a big Raw Silk Trading Company. Mr. Morita told me about the history of his family history.

 八王子一帯は高尾山の地下水脈に恵まれた土地です。豊富な水資源を背景に、養蚕・機織りが盛んに行われました。幕末(安政6年、1859年)横浜港が開港されると、外国との貿易が開始され、輸出品の中心となったのが生糸でした。当時の生糸の主な生産地は、上州(群馬県)、甲州(山梨県)、信州(長野県)など。八王子はその中でも横浜港と江戸に近いという地の利を得た養蚕地帯でした。江戸時代から生糸の取引を行っていた「鑓水商人」の活躍もあり、八王子は生糸の集積拠点となりました。各地でつくられた生糸の多くは「八王子の市」に集められた後、多摩丘陵を越え町田を通って横浜まで運ばれました。この道は「浜街道」と呼ばれていましたが、今では「絹の道」ともいいます。
 Hachioji used to be the center of the raw silk trading business. The port of Yokohama was officially opened in 1859 (the late Tokugawa shogunate). Japan’s chief exports then were the raw silk. There was a big boost for silk business. Hachioji has a good geographical location because it has good access to both of Edo (Tokyo) and Yokohama. The road between Hachioji and Yokohama is called “Hama-kaido” or “Japanese Silk Road”.
 そういえば7月31日に「町田市生涯学習センター」で演奏させていただいた際、商店街に「絹の道」プレートを発見し、辿っていくと町田駅東口に「碑」があり記念撮影しました。 あらら、改めてみると「はちおゝじ」と彫られているではありませんか!

 100年以上前、「森田商店」創業当時の八王子には200を超える絹関係の店や工場があったそうです。織物産業で繁栄を極めた八王子田町には花街が出現、昭和初期には待合、置屋数十件が軒を連ね、芸妓150名が闊歩するなど、たいそう華やかな街だったとか。
森田商店は1929年以降の世界恐慌後の絹相場暴落のあおりを受け、規模を縮小、現在の森田兄弟の代からは、「撚糸」技術で勝負するようになったそうです。
 Morita brothers are experienced artisans of exceptional skill. They have analyzed the silk string which we have been using for the Stringraphy. They have promised that they will make the better one!
 工房へ到着すると、早速先日お送りした「サマーヤーン」を分析して見せて下さいました。この道具、「検撚機」(Twist Counter)というそうです。各種織物原糸の「より数」「より縮み率」を測定する機械です。あっという間の職人技で、私たちが探している糸の測定結果が出ました。
*2つの糸が撚り合されてできている。
*上撚り(あげより、うわより)(合糸後に入れる撚り)=三ッ子撚り(みっこより、スリーコード 糸に丸みを持たせる効果)
180 T/m(回/m) Z方向(左撚り)
*下撚(したより)=266 T/m S方向(右撚り)
*合計=3402 D(デニール)
 蚕の吐いた繭糸は0.02mmほど。一見1本に見える21デニールの絹糸も、解(ほぐ)してみるとこんなにたくさんの繭糸で構成されています。
 この繭糸は、2本のフィブロイン(fibroin、繊維状のタンパク質の一種)をセリシン(sericin)という粘着質のタンパク質が取り囲み固めてできています。フィブロインの断面は三角形に近い形、蚕の口の形が異なるため1本1本太さが異なります。(フィブロインは数百本のフィブリルという細い繊維からなる。フィブリルはミクロフィブリルが集まったもの。)蚕が身体を8の字にうねらせて吐いた繊維であるため、小刻みなうねりが刻まれています。1個の繭は1本の糸からできていて、1000m ~ 1300mもの長さがあります。
 このようにして出来上がった絹にはミクロの凹凸があるため、ストリングラフィにして擦った時、摩擦が起き美しい音色を奏でることができるのですね。
 A silk thread is very thin 0.02mm. Each silk thread is consists of two fibrils. The transvers section of a fibril is triangle. Sericin which is sticky protein puts the two strings together. A fibroin is consists of hundreds of fibril. A fibril is made of microfibril which is a very fine fibril. A silk worm twists when he spits a thread. This is the reason why a silk thread is a little wavy. The cocoon is made of one thread of raw silk from 900 to 1300 meters long.
 The roughness of the silk thread creates a beautiful sound of the Stringraphy!

 糸を撚るときに使う「錘(つむ)(weight snipping)」という道具を見せていただきました。棒錘(stick spindle)(手前)と袋錘(hollow spindle)(奥)の2種類を使用しているそうです。奥の工房では、このような「錘」(イタリア式)を60個連ねた撚糸機(throwing machine)が昼夜を問わず稼働しているそうです。
*袋つむ撚り(covering twist):原糸に撚りをかけず、もう一本の生糸を巻き付けていく方法。中空の錘に原糸を通し、引き出し出口でもう一本の糸を巻き付けていく撚り方。カバーリング。国内では珍しい撚糸機械、特殊な撚り方となる。
 They showed us two kinds of weight spindles, a stick spindle and a hollow spindle. They also explained us how to use them to make different types of strings. It was very interesting demonstration. They have been meeting any kind of customer’s demand.
 They have made a special string for braiding Japanese armor!
 森田兄弟はありとあらゆる注文にこたえてオリジナル「糸」を制作しています。鎧を閉じる絹糸(縅毛 おどしげ)、和綴じ本の綴じ糸(とじいと)、琵琶の糸などできないものはないというお話し、心強いです!
 They have promised that they will make the better one!

無響室での録音 Recording at the Anechoic Chamber

8月9日(水)August 9, 2017 (Wed.)

情報学科の管村昇教授と4年生の久保田光さんのご協力を得て、工学院大学八王子キャンパスの「無響室」でストリングラフィの録音を行いました。3種類の絹糸で作った楽器の波動特性を比較します。(“貞明皇后蚕糸記念科学技術研究助成”をいただいている研究、「国産シルクによる弦楽器(ストリングラフィ)用絹撚糸の開発」の一環)
We have recorded three different types of Stringraphies at the Anechoic Chamber at Kogakuin University. Each one is made different type of silk. (Japanese Silk String for the Stringraphy supported by “Empress Teimei Memorial Grant”)


無響室と同じ9号棟には残響室もあります。ここで弾いたらお風呂で歌っているみたいに気持ちよさそうです。
The Reverberation Chamber


工学院大学八王子キャンパスには新しい施設が続々誕生しています。管村先生に最先端のキャンパスを案内していただきました。

工学院大学八王子キャンパスには新しい施設が続々誕生しています。管村先生に最先端のキャンパスを案内していただきました。木立の向こうに見えるのが、情報学科のある新2号館。工学院大学の卒業生、教授陣が設計を担当、学生の視点に立った斬新かつ愛情あふれる視点が随所に生かされています。こんなところで勉強できる工学院大学の皆さんがうらやましいです!!

学生たちが自由に学び、ディスカッションを行える「ラーニングコモンズ」。

ここはなんと「図書館」。椅子です!保護者や教授、卒業生などの寄付で、学習に集中&リラックスできる環境が整えられています。

オープンキャンパスに際の展示。

Musical Forest in Machida City (Tokyo) Preparation 町田市生涯学習センター「糸の森の音楽会」仕込み

7月30日(土)July 30, 2017 (Sat.)

明日は「町田市生涯学習センター」のホールで「糸の森の音楽会」を行います。(生涯学習センターでは、毎年平和を祈念する事業として、夏の平和イベントを続けて行っています。明日のコンサートはその一環です。)今日は仕込み。

高木さん始め担当部署の皆様のご協力で、ホールがすてきは弦楽器に変身!松田さん(マイク調整中)には、音響&照明まで担当していただきました。明日コンサート当日は休日の所、オペレーターをやっていただけることになり、感謝です!


お蔭様で定員を大きく上回る応募をいただき、抽選を行ったという事です。嬉しいソルドアウトです!
Photo by Momo Suzuki


町田駅への帰り道、「絹の道 中央通り」のプレートに気が付きました。幕末から明治にかけて、八王子から横浜へかけて、「絹」を運ぶ和製シルクロード=浜通りの中間地点が「原町田」だったとか。当時は桑畑、養蚕農家が周辺に広がっていたそうです!

工学院大学の久保田光さんスタジオ訪問 

7月6日(木)July 6, 2017 (Thurs.)
“貞明皇后蚕糸記念科学技術研究助成”研究、「国産シルクによる弦楽器(ストリングラフィ)用絹撚糸の開発」で共同研究をお願いしている工学院大学の久保田さんがスタジオへ。3種類の絹糸で作ったストリングラフィの「音」を録音しました。“WaveSpectra” を搭載したPCで、周波数成分を解析して見せてくださいました。人の耳で聴いて「〇」と感じる音には、基音(第1倍音)が多く含まれていることがはっきりわかります。今後、細かく解析してくださるそうです。結果が楽しみです。

Hikaru, a senior student of the Kogakuin University recorded Stringraphy sound. KIKU, the bass player made three Stringraphies using three different types of silk. Hikaru used the “Wave Spectra” and showed us the wave form of each string.

I visited the Kogakuin University. 工学院大学へ伺いました。

6月29日(木)June 29 2017 (Thurs.)
I visited the Kogakuin University. Mr. Kubota, an excellent student in the Department of information design is going to write his graduation thesis about the Stringraphy. We had the first discussion at Professor Sugamura’s office.

工学院大学情報学部、管沼昇教授教室の久保田君と「ストリングラフィ」をテーマに共同研究を行うことになり、ミーティングを行いました。“貞明皇后蚕糸記念科学技術研究助成”をいただいている研究、「国産シルクによる弦楽器(ストリングラフィ)用絹撚糸の開発」の中の、「周波数特性試験」による「国産シルク製ストリングラフィ弦」と「市販の糸」の比較を中心に、研究を行っていただく予定です。